美容部員が訴えるつきまとい被害。男女の認識のギャップに「びっくりしました」先月、Twitterでの“美容部員の本音”という投稿が、話題になりました。美容部員は化粧品売り場に来る男性からつきまといなどの被害に遭うことがあり、商品を買い求めてくる男性客にさえ警戒心を抱いて、冷たく受け
先月、Twitterでの“美容部員の本音”という投稿が、話題になりました。
美容部員は化粧品売り場に来る男性からつきまといなどの被害に遭うことがあり、商品を買い求めてくる男性客にさえ警戒心を抱いて、冷たく受け取られる接客例もあったのではないか――といった内容。
ツイートをした「はな(@hinano0213_)」さんに真意を聞きました。
――先月、ツイートが約14万件の「いいね」を集めました。
はなさん: 私は国内の化粧品ブランドに勤務する美容部員として5年間、売り場でお客様に商品の説明をしたり、タッチアップをしたりしてきました。
同僚もお客様もほとんどが女性という特殊な環境の中で、一部の男性不審者による特定の店員に何度も商品に関係のないことを話しかけるといった、つきまといなどが後を絶たない現状があります。
ちょうどツイートする数日前、店員へのつきまといが理由で出禁になった男性が、1年ぶりくらいに売り場に来たんです。
私は勤務中で、その男性だと気付かずに会釈したら、目を付けられてしまいました。
その日は売り場内をうろつきながら、「いま何時か教えてもらえますか?」「男性化粧品ありますか?」などと、拒否しづらい声掛けを何度もしてきて。
警備員を呼んで帰ってもらいましたが、そのあとも数日間は売り場に来てはつきまとってきました。
GettyImagesより
はな: これって、接客業をしている女性や美容部員にとっては“あるある”の話なんです。
でも男友達に話したら「つきまとわれることなんてあるの?」と、びっくりされて。
男性と女性の認識に、すごくギャップがあると感じました。
Twitterで男性の美容アカウントが、「どうせ男は買わないと思われているから、美容部員さんは冷たい」「コスメ売り場で男性は、女装が趣味だと思われて差別されてる」などとツイートしているのを、見かけてきました。
みなさん「偏見を受けた」「そんなに冷たくされるのは自分が悪いんだろう」といった受け取り方をしていらっしゃる。
そうした対応になってしまった場合もあるのかもしれない――。
その背景を知ってもらいたくて、投稿しました。
――不審者による被害は、結構あるのですか。
はな: 化粧品売り場に来る、ほとんどの男性は普通のお客様です。
でもたまに不審者も紛れ込んでいて、感覚的には3年働いていたら必ず一回は遭うくらいの頻度じゃないかな。
よくあるのは、お客様を装って美容部員に近づき、長時間、商品とは関係ない話をする、毎日のように売り場に来るようになるというケース。
タッチアップの時に、男性客から「きれいな手だね」「ネイル見せて」などと言われて手を触られた、男性のお客様から連絡先を渡された――といった話も聞きます。
私も50代くらいの男性を接客していたら「手相見てあげるよ」としつこく言われ突然、強い力で手を握られて怖い思いをしたことがあります。
手を引いても離してくれないくらい力が強かったので、「この人が自分に執着してきて、お店の外で襲いかかってきたらどうしよう」と、怖くなりました。
私たちは接客をしなければならず、お客様には必ず対応しないといけない。
接客の範疇を超えたことを要求してくる人が、残念ながらたまにいるんです。
私が勤務しているブランドは男性向けのラインがないということも相まって、男性が来るだけで警戒してしまうんです、もちろん態度に出ないように気を付けてはいますが。
ディスプレイの前で立ち止まっている男性がいても、本当に商品に興味があっていらっしゃるのかセクハラ行為を目的に来ているのか判別がつかずお声掛けできなかったこともありました。
男性のお客様に対してもぜひ美容を楽しんでいただきたいという思いはあるのですが……。
――見極めが難しいんですね。
はな: 一度ターゲットになって執着されてしまうと、お店の中でつきまとわれるだけでなく、外で会ってしまう可能性もあります。
お店の従業員用の出入り口で待ち伏せされてたら……と考えると怖くなるんです。
警備員が守ってくれない、お店の外で襲われる可能性もゼロではないので。
百貨店の化粧品売り場って、特殊な環境だと思うんですよ。
店員は基本的に女性ばかりだし、お客様もほとんどが女性。
多くの百貨店では1階の出入り口が近い場所にあって、壁による仕切りもありません。
男性の目がなく、出入り口や通路が近いため、不審者が近づきやすい環境が揃ってしまっています。
化粧品売り場によく行くという男性のアカウントからは、「女性と一緒に行くようにします」とか「身だしなみに気を付けます」といった声をいただきましたが、お客様に配慮してもらうことではないので、そんなことはしてもらわなくていい。
一方で、「ブランド側が対策するべき」という意見もたくさんありました。
もちろん不審者対策はやるべきだし、男性美容部員を増やしていくということができれば解決できるかもしれない。
でもブランドにとっては、プロモーションや売上増加に力を入れることが重要だから、不審者対策にまで各社、十分な労力を割けていないのが現実です。
百貨店が、警備を強化することが現実的だと思いますね。
男性警備員が売り場を巡回してくれるだけでも、だいぶ変わるんじゃないかな。
――Twitterではそのほかにも様々な反応がありました。
はな: 女性からは「私も被害に遭いました」という共感の声が寄せられて、驚くと同時に悲しかったですね。
一方で、男性からは「いやいや、でっち上げでしょ」という反応も。
世の中の男女の認識がこんなにも違うのかとびっくりしました。
化粧品売り場って女性でさえも「ハードルが高く、行きにくい」と感じる人がいらっしゃるくらいの場所。
ましてや勇気を持っていらっしゃった男性が、美容部員に冷たくされたら、それは傷つきますよね。
そんな人に、「あなたが悪いんじゃなくて、対応した美容部員さんにトラウマがあったのかも。
だから気を楽にしてくださいね」と伝えたかったんです。
化粧品売り場というのは美容を求める人には男女関係なく、優しい場所であるべきです。
本当に商品を求めてきてくれる方には、気にせず来ていただきたい。
美容の力って本当にすごくて、性別に関係なく自己肯定感を上げてくれるもの。
そのための化粧品を選んで差し上げる仕事がしたくて美容部員になったので、男女ともに、きれいになりたいって気持ちには、これからも応えていきたいと思っています。
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